誰でも簡単に育てられる、プランターきゅうりの栽培方法について徹底解説していきます。
きゅうりは野菜ランキング3位にランクインするほどの人気野菜(みんなのランキングより)。みずみずしくシャキッとした食感がたまらない、夏やおつまみに定番の野菜です。
そんな人気野菜のきゅうりは、意外と家庭菜園で簡単に育てることができるんです。またプランター栽培なら、ベランダや庭先のちょっとしたスペースを活用してきゅうりを栽培できます。
プランター栽培で美味しいきゅうりをたくさん収穫するためには、品種や場所に合った適切な管理方法が重要です。今回の記事では、美味しいきゅうりを育てるための、重要ポイントをゆっくり解説していきます。
ぜひこの記事を参考にきゅうりを栽培して、美味しいきゅうりをたくさん収穫してみてください。
目次 [hide]
苗の選び方
初めの重要ポイントは、丈夫なきゅうりの苗を選ぶところです。
苗を選ぶときは、本葉が3~4枚出ている苗を選ぶようにします。一番下の双葉はカウントせずに葉っぱが3、4枚出ているものを選びます。この状態の苗が一番定植に適している状況です。
また、本葉の色を見て濃い緑色をしている苗を選択しましょう。
きゅうりは種からでも育てられますが、病害虫にかかりやすかったり、収量が減る恐れがあるので難易度が高め。そのため、初めは苗を購入するのがおすすめです。
苗はコメリや農業屋、ビバホームなどのホームセンターで購入できます。4月の中下旬頃には出回り始めているので、一度見に行ってみましょう。
ちょっと待って
きゅうりと言ってもたくさん種類があるんだけど…。
いったいどれを選べばいいの?
いざホームセンターに行くと、きゅうりの苗だけでも数種類の品種があり、どれを買えばいいのか迷ってしまいます。
初心者でも育てやすくて最もメジャーなのは「夏すずみ」か「北進」という品種です。
「夏すずみ」は、べと病やうどんこ病などの病気に強い品種のため、初心者でも失敗しにくい品種です。
「北進」は、早い段階からたくさんのきゅうりが収穫できる短期決戦型で、管理しやすいのが特徴です。
その他にも多くの品種がありますが、栽培する場所や食味の好みによって、きゅうりの品種を選ぶのがおすすめです。
下記の表に、品種別に特性を分類してみました。
きゅうりには大きく分けて主枝型と側枝型の2種類があります。
主枝型は短期間でたくさん収穫できるタイプ。つるが横に広がりにくいため、ベランダなどの狭いスペースでの栽培に適しています。
側枝タイプは収穫までに時間がかかるけど、長い期間きゅうりを収穫できるタイプです。グリーンカーテンに利用したい人におすすめの品種です。長期間の管理が必要で、場所を多く取るデメリットがあります。
作付け時期について
きゅうりの作付けは、5月に植えて6月以降に収穫するのが一般的ですが、7・8月に定植して秋口にきゅうりを収穫することもできます。
そのため、5月の植え付け適期を逃してしまっても、きゅうりには2回目のチャンスがあるので安心です。夏に植え付けを行う場合は、耐熱性のある品種を選びます。
用意する資材
次に、ホームセンターに苗を買いに行ったついでに、栽培に必要な資材も調達しておきましょう。
- プランター
- 鉢底石
- 園芸用培土
- 追肥用の肥料
- ネットと支柱、もしくは自在型トレリス
最低限でもこれだけのものを用意します。それでは1つづつ詳しく解説していきます。
プランター
きゅうりのプランター選びのポイントは、底が30㎝程度で横幅が広いプランターを選びます。
きゅうりの根っこは、横に広く浅く伸びる性質があるため、横に根を張りやすい幅のあるプランターの方がノビノビと成長できます。
丸型プランターの12号もしくは、長方形の園芸用プランターを用意します。丸型プランタの場合は、1つの鉢に1株植えます。
長方形の園芸用プランターの場合、主枝型の品種は2株以上植えることも可能ですが、側枝型の品種は余裕を持たせて1株、頑張っても2株まで植えるようにします。
鉢底石、園芸用培土
鉢底石と園芸用培土は、ホームセンターで売られているものを購入します。
園芸用培土はあらかじめ元肥が入っている商品を買えば、肥料を混ぜ込む手間が省けます。
肥料成分の入っていない培土を買う場合は、別途肥料を適量混ぜ込むようにします。
追肥用の肥料
きゅうりは肥料が大好きな野菜です。栽培途中に肥料切れを起こすと、実が曲がってしまう原因になるので、追肥用の肥料をあらかじめ用意しておきます。
肥料は窒素が少なめでリン酸が多く含まれている肥料がおすすめです。窒素分が多いと葉っぱが多くなり、かえって病気になりやすくなるので、窒素分が控えめな肥料にしましょう。
ネットと支柱
きゅうりはつる性植物で、つるを延ばして成長していきます。そのため支えになる物が無いとつるをかけられず、自立できない植物です。そのためきゅうり栽培には、きゅうりを自立させるためのネットや支柱が必須です。
この支柱を立てて栽培する方法を「支柱栽培」と言い、支柱栽培には何種類かあります。きゅうり農家などで採用されている「直立式」や、一般的な「ネット式」などがあります。どの方法を選ぶかは、場所や品種によって異なります。
側枝型の品種におすすめなのが「ネット式」です。
まずホームセンターや100円ショップで、きゅうり用ネットを購入します。ネットのサイズは様々ありますが、1.8m×1.8mサイズのものでも十分です。主枝型のきゅうりはネット1枚で2株分、側枝型のきゅうりはネット1枚に対して一株分の余裕を持たせて栽培します。
またネットを掛けるためのイボ竹も用意して、ネットをかけます。
自在型トレリスを使った支柱栽培
主枝型のきゅうりであれば、手間のかからない自在型トレリスを使った栽培もおすすめです。
自在型トレリスはホームセンターなどで購入可能です。足を広げてプランターに挿すだけなので、簡単にきゅうりの支えになります。
きゅうりの草丈に合わせて、長さが180㎝程度の自在型トレリスを選ぶようにしましょう。短いものにしてしまうと、下方のつるや葉が混みあって病害虫の発生を招きます。また、収穫などの作業もやりにくくなってしまいます。横に広がる側枝型には向かないです。
栽培方法について
栽培に必要なものがそろったら、具体的な栽培方法について解説していきます。まずは買ってきた苗の定植作業から始めます。
定植
きゅうりの苗はたくさんの水を必要とするので、定植の直前まで土が乾かないように水を与えておきます。
まずはプランターの底に、鉢底石を敷き詰めます。そこが見えないぐらいに敷き詰めたら、その上に園芸用培養土をプランターの8分目まで入れます(プランターの線が8分目の目印です)。
培土を入れ終わったら、苗を植える場所の土を手で掘っておきます。穴を掘ったら、カップごと苗を入れてみて高さが水平になるか確認してみましょう。
苗を植える穴が掘れたら、ポットから苗を取り出します。根っこや苗を傷つけないように、そっと取り出して植え付けます。
ポットの表面と培土の表面の高さが同じになるように植えるのがポイント。
定植が終わったら十分に水やりをしましょう。
支柱を立てる
苗の定植が終わったら、自立を促すために支柱を立てていきます。
自在型トレリスの場合、足の部分を広げて園芸培土の中に差し込みます。苗がちょうど円の真ん中に来るようにします。
追肥と水やり
きゅうりは水と肥料が大好きな野菜です。水切れや肥料切れを起こすと、実が変形してしまう原因となります。
追肥は約10日間おきに行います。粒状の肥料をひとつかみ程度とり、株前付近を避けて撒きます。株の近くに撒くと肥料やけを起こしてしまうので、なるべく株から離れたところに撒きます(またアンプルタイプの液肥も使えます)。
水やりは毎朝行うようにします。特に夏場のすぐに土が乾く状態であれば、1日2回以上水やりを行うようにしましょう。
芽かきと摘芯
美味しいきゅうりを作るのに欠かせないのが、この芽かきと摘芯です。
これをやらないと、病気になったり収量が落ちてしまう原因となるため、実はとても重要な作業なんです。
この作業は、人間でいうところの散髪のようなものです。髪を切らずに放折っておくと、頭がもさもさになってしまいますよね。
きゅうりも同じように芽かきと摘芯をすることで、さっぱりして風通しが良くなり、病気にかかりにくくなります。さらに、芽かき・摘芯を行うことで、よりたくさんのきゅうりを収穫することができます。
まず芽かきとは、親ずるの節々から生えてくるわき芽を、取り除く作業のことです。この作業は、実ではなく、わき芽の成長に栄養が取られてしまわないように、余分なわき芽を取り除く作業です。
きゅうりは根から吸収した栄養を、株元から徐々に分散させていきます、株元付近にわき芽があると、そちらにばかり栄養が取られてしまいます。
そのため芽かきは、下から数えて本葉の第5節あたりまで行うのがポイントです(株元からだいたい30㎝あたりまで)。わき芽の根元をひねると簡単に取れます。
5節目までに生えてくる花も遠慮なく摘み取ります。こうすることで、上部のきゅうりの実まで栄養が行きわたります。
次に摘芯とは、きゅうりの親ずるがある程度成長したら、先端を切って成長をストップさせる作業です。この作業を行わないと、いつまでもきゅうりのつるだけが伸びて、実が全然ならなくなってしまします。
つるの成長を止めることで、実や花の成長を促すように仕向けることができるのです。
摘芯は、きゅうり親ずるの20節目(本葉が20枚出たところ)で切るのが良いです。
栽培方法によっては30節で摘芯する場合もありますが、スペースの限られるプランター栽培の場合は、20節目が安泰です。
この摘芯を行うことで、子ずるや孫づるの成長が旺盛になり、花の開花も多くなります。
また第6節以降のわき芽から成長した子ずるも、葉っぱを2枚残して先端を摘芯します。
摘葉
ある程度きゅうりが成長してくると、下の方の葉っぱが黄色くなってきます。これは、初期の頃に活躍していた葉っぱたちが寿命を迎えてきたためです。そのような葉っぱが下方に集中していると、風通しが悪くなり、病害虫の発生原因となります。
そのため黄色くなった葉っぱや、株元付近に密集した葉は切り取ります。適葉する時はなるべく茎の部分を多く残して摘葉します。こうすることで、切り口から病原菌が侵入したとしても、本体への影響は少なくなります。
収穫
雌花が咲いてから約1週間後、待望のきゅうりの収穫です。収穫作業は鮮度を保つために早朝に行うのがおすすめ。きゅうりの実の温度が低い時に収穫した方が、収穫後の鮮度か新鮮に保たれます。
初めての収穫は、まだ実が小さいうちに行うことがポイント。実の長さが15㎝ぐらいになったら収穫します。早めに収穫した方が、株本体への負担が少なくなります。
その後の3番果以降は、実の長さが20㎝ほどになったものから収穫していきます。
きゅうりの実は、1日であっという間に成長して大きくなります。適期を逃したきゅうりは味が落ちたり、株本体のエネルギー消耗につながります。そのため毎朝収穫できそうな実が無いか確認するようにしましょう。
まとめ
プランターきゅうりの栽培ポイントを、徹底的に解説させていただきました。他の野菜に比べて、比較的作業手順が少なく収穫までの期間が短いきゅうりは、野菜作り入門にぴったりの野菜です。
自分で育てて収穫した野菜はどんなに不格好でも、スーパーで買ってきた野菜よりも断然美味しく感じられます。
この記事を参考にしていただいて、ぜひご家庭でもプランターきゅうりを栽培してみてください。
最後にきゅうりの栽培時に必ず遭遇する、病害虫と対策方法について下記の記事でまとめてみました。栽培途中に厄介者に出会ってしまったら、ぜひ参考にしてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント