すずめの戸締まり パンフレットのレビュー

映画

今回の記事では、「すずめの戸締まり」のパンフレットを読んだ感想と、本編の考察についての記事です。

新海誠監督のファンなので、映画を観た後はパンフレットも一ミリの迷いなく購入しました。

この記事で、映画パンフレットが売り切れで買えなかった方や、映画は見たけどパンフレットを買ってない方の参考になれば幸いです。

パンフレットの構成

  • イントロダクション    1ページ
  • ストーリーと劇中の挿絵  4ページ
  • CV紹介とインタビュー    8ページ
  • 新海誠監督のインタビュー 4ページ
  • キャラクター紹介     2ページ
  • キャラクター設定     6ページ
  • 美術資料         2ページ
  • 制作ノートと作品紹介   4ページ
  • RADWIMPSのインタビュー 2ページ
  • 音楽担当 陣内一真さんインタビュー 2ページ
  • 主題歌紹介と十明さんのインタビュー 2ページ
  • 各製作スタッフのプロフィール 2ページ
  • エンドロール        2ページ
  • 劇場グッズハッピーセットの紹介 4ページ

パンフレットを読んだ感想

パンフレットの構成はこんな感じになります。ここからは、パンフレットを読んで感じた魅力を、本編の考察を交えながらご紹介します。

まずパンフレットをサラッと読んだ感想として、かなりネタバレ要素の多い内容だと感じました。なので、映画を鑑賞してからパンフレットを読むのが良いでしょう。

また、一部書いてある内容に関しては、入場者特典でもらえる「新海誠本」と被る点もあったので、「新海誠本」を貰えなかった人は、このパンフレットを買えば十分だと感じました。さらに、パンフレットの内容もある程度濃い内容だったので、映画を見た後の補足として、このパンフレットを活用すれば作品の理解を深めることができます。

魅力① 豪華キャストのインタビュー

キャストインタビューでは、オーディションやアフレコ時の様子や、それぞれのキャストの方が感じた「すずめの戸締まり」の魅力を、インタビュー形式で紹介されています。キャストの方が、それぞれのキャラクターの視点で作品の魅力を語ってくれているので、映画を見ていた時には注目していなかった視点で作品の魅力を知ることができます。

中でも興味深かったところは、鈴芽役の原菜乃華さんのインタビューの部分です。菜乃華さんは鈴芽を演じているときに、鈴芽はよく走る子だなと感じていたそうです。確かに劇中で鈴芽は、たくさんの車が行き交う東京の大通りを何回か走って横断したり、泥の上でもお構いなしに走って泥だらけになったりしていました。

劇中のそのような行動から、鈴芽は見た目に寄らず思い立ったらすぐに突っ走ってしまう、ある意味主人公らしい性格なんだなと感じました。筆者は、初めて鈴芽のビジュアルを見た時に、おしとやかな感じの子かなーと思っていたのですが、鈴芽の汚れ知らずの迷いのない行動力に、ある意味ギャップ萌えしました(キモイ)。

また、インタビューの中でキャストの方の多くが、新海監督の作品について同じような意見を持たれていることにも注目しました。例えば、宗像草太役の松村北斗さんをはじめ、岩戸環役の深津絵里さん、岩戸椿芽役の花澤香菜さんがインタビューで次のように語っていました。

松村北斗さん 誰もが共感できる現実や心理の繊細なところも描かれていて、新海さんの今までの細胞のすべてが集まったオールスターの作品だと感じました。
深津絵里さん この言葉(環が鈴芽に対していった「私の人生返してよ」というセリフ)を胸に閉じ込めている方は、きっとたくさんいらっしゃると思うんですよね。こういう強烈に生々しい言葉が、ファンタジーの世界の中にふっと入ってくる。新海監督の凄さを改めて思い知らされました。
花澤香菜さん 新海誠監督作品の大好きなところなのですが、あるときキャラクターの感情の波が一気に押し寄せてきて、観ているこちらもそれに抗えない感じ、気持ちがシンクロしていく感じが、今回も凄まじかったです。

みなさん、口をそろえて新海誠監督作品の共感力の凄さについて言及しています。このことから、演じているキャストの方自身も作品に共感し、新海監督の作品が誰の心にも共感できる、凄い作品であることが改めて分かりました。

そして、誰でも共感できる作品にするために新海監督はあることを意識して作品創りに取り組んでいたそうです、そのあたりの話は、新海監督のインタビューページで明かされていましたので後ほどご紹介します。

逆に、キャストインタビューのところで物足りなく感じたところもありました。それは、ダイジン役の山根あんちゃんのインタビューが一文もなかったところです。今作では、猫のダイジンも良い役割をしていたし、人気も高そうなのでダイジンと山根あんちゃんのインタビューも入れてほしかったなと感じました。

魅力② 新海誠監督のインタビュー

新海誠監督のインタビューが読めるのもこのパンフレットの魅力の一つです。ただし、この監督のインタビューのところでかなりのネタバレがあります。また、「新海誠本」でも語られていることと同じ内容が書かれているため、どちらかを読めば充分だと感じました。しかし、監督自身が今回のような作品になった経緯を語っているため、新海誠監督のファンであれば読んで損のない内容となっています。

監督のインタビューのなかで面白いと感じたところは、劇中に出てくる「イス」や「廃墟」などの発想を得た時の経緯です。

「イス」の発想を得た時は、監督が長野の実家に帰省してるときに、田舎のバス停のポツンと置かれた一人掛け用の木の椅子から着想を得たそうです。監督が見た日常のちょっとした風景から着想を得ていたことに驚きです。また、「廃墟」の発想に関しては、インタビューで監督は次のように語っています。

最初にあったのは、「場所を悼む」物語にしたいということでした。かつて栄えていた場所や街が、人が減って寂れていったり、災害で風景が失われてしまったり。(一部省略)そういう「場所」を悼んだり鎮魂したりする物語ができないかとイメージした時、自ずと出てきた作品舞台が、人のいなくなった寂しい場所、つまり廃墟だったんです。そしてその出入り口ということで、扉がいいんじゃないかというのが起点でした。

確かに、廃墟やさびれた商店街や遊園地などは、日本のどこにでもあるため、誰でも共感しやすい舞台として監督が選んだのではないかと感じました 。筆者も、映画を見ながら近所の廃墟や、子供の頃に遊んだことのある潰れた遊園地などを思い出しました。きっと、そのような場所は誰の心の中にもある風景であるので、今作が誰でも共感できる作品である一つのポイントではないかと思いました。

次に、監督のインタビューで興味を引いた部分は、今作で東日本大震災に直接触れたことの経緯についてです。今作では、現実に起きた災害を直接エンタメとして取り上げているので巷では賛否を呼んでいます。東日本大震災に触れた経緯について監督は、次のように語っています。

震災以降、ずっとそのことは頭にあって、「君の名は。」(16)にしてもそれを考えながら作った映画ではありました。

監督はこのように語っており、当時は直接東日本大震災について触れるのは厳しいのではないかと考え、「君の名は。」では遠回りに震災について触れてみたそうです。余談ですが、別のテレビ番組のインタビューで監督は、震災直後に被災地を訪問したときに、「自分があの日、ここにいた世界は十分にありえた」と語っています。もしも自分があなただったらと言う思いで君の名は。を制作したそうです。そして、君の名は。で間接的に震災に触れてみた後のことについて監督は次のように語っています。

でも、それで何かが解消できたわけでも、自分の中でも気がすんだわけでもなかったんです。ずっとわだかまりというか、課題のようなものは自分の中に残り続けていた。描くべきことを描けないままにしてしまっているような気分が残っていた。

間接的に震災に触れただけでは、監督自身の中にあったわだかまりが解消されることがなく残ってしまったそうです。そして、震災から12年がたった今、震災の記憶が忘れ去られる前に、今しかないと直接震災について触れる決断をしたそうです。これは、監督としても覚悟のいる決断だったのではないかと思いましたが、なぜそこまでして、震災のことを直接取り上げたかったのか疑問に思いました。しかし、次の監督のこの言葉を聞いてある意味すべて納得できました。

でもそれは映画制作に限らず、人間が昔話のころからずっと続けてきた行為のような気がします。

確かに、僕らが知っている昔話や民話は、昔の災いや教訓がもとになってできている物語もあります。起きた出来事を物語の形に落とし込むことで、誰もが理解でき共感できる形にする。そして、震災を忘れずにずっと考え続けられるようするために、新海監督が物語にするという大役を果たしたのではないかと、筆者は感じました。

新海監督は、批判を恐れずに震災をエンタメとして取り扱うことで、僕らが日常では想像したり、気づかなかった感情のスイッチを代わりに押して、感情の世界を広げてくれているんじゃないかと改めて感じました。

最後にもう一つ驚いた内容は、今作はジブリ映画「魔女の宅急便」の影響を受けて作った作品だということです。魔女の宅急便では、魔女のキキが魔女の修行のために旅立ち、おソノさんをはじめ、様々な女性たちに出会い、助けられながら成長していく物語です。一方、すずめの戸締まりでは、鈴芽が旅をしながらであった女性たちに助けられながら成長していきます。

確かに二つの作品を比べると、ストーリーの骨組みは似ているような気がします。このような、知っている作品同士のつながりや関係性を知れるのも、映画の楽しみの一つでもあります。また、作品後半で芹澤が運転する車の中で、ルージュの伝言が流れてましたけど、ちゃんと意図があって流していたんですね。

魅力③ 音楽担当RADWIMPS野田さんと陣内真一さんのインタビュー

音楽担当のRADWIMPSの野田さんと陣内さんインタビューでは、今作のための楽曲制作での苦労が語られていました。インタビューの中で野田さんは次のように語っていました。

過去2作はポップミュージック寄りでしたが、今回は現代的なものよりかは、普遍的なメロディだったり、土着的な音色だったり、日本古来のものを感じさせる何かかがあってもいいんじゃないかという感じがして。

野田さんのこのような思いから、今作のエンディングのひとつの「すずめ」という、前作の楽曲とは異色の楽曲が誕生したそうです。しかし、前作の楽曲から得られたことも「すずめ」にも取り入れているそうです。例えば、「天気の子」のときの「グランドエスケープ」という楽曲では、合唱を曲中に取り入れることで、壮大な雰囲気を創るという効果がありました。この合唱の効果を「すずめ」にも取り入れて壮大な雰囲気にしたそうです。

また、もう一つのエンディングになった「カナタハルカ」に関しては、新海監督がエンディングを決める際に、いくつか候補を出したのですが、監督はこっちなのか、あっちなのか考えあぐねていたそうです。そして、最後まで振り絞って作って出した「カナタハルカ」がエンディングになったと語っています。

今作は、新海監督の前作に比べるとそれほど恋愛要素の多くない映画でした。でも、このエンディングの「カナタハルカ」を聴いて、鈴芽が行動する動機やラストシーンのことを思うと、やっぱりこの映画は恋愛映画でもあるんだなと改めて感じました。

また、今作からは音楽担当に陣内真一さんも加わり、音楽制作に参加されたそうです。陣内さんは、新海監督の依頼を聞きながら、場面ごとに少しずつ音を変えながら試行錯誤を繰り返して音楽を制作されたそうです。今作は、新海監督とRADWIMPSの野田さん、陣内真一さんの最強タッグで音楽制作してるため、映像も美しかったですが、音楽も相当クオリティの高い映画なんだと実感しました。

まとめ

ここまで、筆者がパンフレットを読んで感じた魅力と考察についてご紹介しました。紹介した以外にも、パンフレットにはたくさんの魅力的な情報が掲載されています。そして結果的に、すずめの戸締まりのパンフレットは、作品を見た方であれば買って損の無いような濃い内容でした。一部、ネタバレ要素がありますが、映画を見た後の補足として十分役に立つ内容でした。

また、パンフレットを読んで、作品の要点や制作過程を知ったうえでもう一度、映画を鑑賞するのも面白いのではないかと思いました。

この記事を読んで、すずめの戸締まりについてもっと理解を深めたいと思った方は、ぜひパンフレットも買って読んでみてください。

最後までご覧いただきありがとうございます。

 

 

出典、参考資料:すずめの戸締まりパンフレットより

 

農業や旅行関係の情報発信しているミワッカと申します。現在、農業と旅行で自由に生きられる働き方を模索中。

多趣味なので、たまに違う内容の記事も投稿します。

ミワッカをフォローする
映画
スポンサーリンク
ミワッカをフォローする
旅と農業のブログ

コメント

タイトルとURLをコピーしました